糖尿病と神経合併症

徳島大学病院神経内科 野寺裕之
糖尿病性神経障害とは
 糖尿病による高血糖が長く続くことにより神経障害、腎障害、網膜障害の三大合併症が生じてきます。このうち神経障害は糖尿病発症後4,5年で発症するといわれ、三つの合併症の中で最も早期に生じるといわれています。そのため、神経障害の発症を早期に検出し、その進行予防を行うことが重要です。神経障害の症状は手足のしびれや痛み、感覚の鈍麻、繰り返す下痢や便秘、立ちくらみ、性機能障害などがあります。

神経のどの部分が障害されるのか
 脳は指令を発したり、手足からの情報を受け取る重要な部分ですが、そこから枝分かれした末梢神経が手足の末端まで張り巡らされています。糖尿病性神経障害ではこの末梢神経が主に障害されます。末梢神経には筋肉を動かす運動神経、冷めたさや痛さなどを脳に伝える感覚神経、内臓や血管を無意識のうちに制御する自律神経がありますが、その全てが糖尿病性神経障害では異常となるため、上で述べた症状が出現します。

糖尿病性神経障害で見られる症状や診察所見
(1) 多発神経障害 主に運動神経と感覚神経の障害によるものです。神経の末端から神経障害が起こりますので、つま先や足の裏に正座の後のようなビリビリ感、針で突いたような痛み、薄紙を貼り付けたような異常感覚などが出現し、少しずつ体の中心に向かって広がります。夜間に症状が強くなる特徴があり、腰椎症と見分けが付きます。診察所見では深部腱反射、特に足首でのアキレス腱反射が出にくくなったり、足首での振動が分かりにくくなります。検査としては神経に電気を当てて神経の伝わりを見る神経伝導検査や自律神経検査が行われます。
(2) 自律神経障害 自律神経は人間が生きていく上で絶対必要な内蔵の活動、発汗による体温調節、血圧の維持などをしています。糖尿病神経障害により自律神経障害が起こると下痢や便秘、発汗異常、立ちくらみ、排尿障害、性機能障害などが出現します。
(3) 単神経障害 糖尿病により全身の特に細い血管が詰まりやすくなります。末梢神経の周りにある血管が詰まり、神経に血が通わなくなるために起こります。主には眼球やまぶたを動かす神経や顔面の筋肉を動かす神経が障害され、それらの筋が動きづらくなります。

神経症を放っておくと足の感覚が分からないくなり、足の傷が治りにくくなります。その結果足から菌が入り足が腐ってしまう(壊疽)事があります。最悪の場合、足を切断しなければなりません。

治療
 血糖のコントロールが最も重要です。さらに栄養やビタミンを十分取り、酒類は末梢神経に良くないので多飲を控えます。アルドース還元酵素阻害薬は神経障害の進行を予防する効果があります。しびれや痛みに対しては対症療法として、けいれん、気分障害、不整脈などに使用する薬で症状の改善が期待できます。


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