運動前後の低血糖と補食

徳島大学病院 木内美瑞穂
 糖尿病の治療で、インスリン治療または血糖降下剤の内服をしている場合、運動量が多すぎたり、空腹時に激しい運動をした時の運動中や運動後に低血糖を起こす場合があります。
運動時に低血糖を起こす仕組みについて
 糖質は、主に身体の筋肉や肝臓にグリコーゲンというエネルギー源となって蓄積されています。このグリコーゲンは運動時のエネルギー源となって消費されます。そのため強度の強い運動や持久力を有する運動を実施した場合、筋肉に貯蔵されているグリコーゲンが枯渇してしまい低血糖を引き起こします。特に、空腹時に運動を実施すると低血糖を起こしやすくなります。
 また、インスリン治療や血糖降下剤の内服をしている場合、インスリンや薬の効果の強い時間帯に激しい運動を実施したときも低血糖を起こすことがあります。
 また、上下肢にインスリン注射をしている場合、運動時に血流が増えるためにインスリンの効きが普段よりも良くなり低血糖を起こしやすくなります。

運動後に低血糖を起こすこともあります
 『遷延性低血糖』と言って運動が終了してから10数時間後の深夜に突然低血糖を起こすことがあります。これは、運動により薬やインスリンの効きが良くなるためで、激しい運動をしたときは、丸1日低血糖に対する注意が必要です。
運動時に低血糖を起こした場合
 あめや氷砂糖でも血糖を上げることができますが、溶けやすく吸収の速いブドウ糖やブドウ糖が含まれている市販のジュース(HI-Cオレンジ、HI-Cアップル、コカコーラ等)を100〜150ml飲用します。特に、α−グルコシダーゼ阻害薬(商品名:グルコバイ、ベイスン、セイブル)を内服している場合は、砂糖だと飲んでも吸収されないためブドウ糖を内服してください。
*詳しくは低血糖のページを参考にしてください。
運動中、運動後に低血糖を起こさないために
 運動をする場合は、できるだけ空腹時は避け食後30分くらいたって血糖が上昇し始める頃に運動を開始するようにします。また、インスリン治療をしている場合、インスリン注射は1時間以上前に腹部に打つようにしましょう。
また、運動前に自己血糖測定を行い血糖が低い時や普段より運動量が多くなる時は補食を摂るようにしましょう。
 夕方、運動を実施した後に『遷延性低血糖』で、睡眠中に低血糖を起こす可能性の高い場合は、睡眠前に補食をとりましょう。
運動前の補食の摂りかた
運動量の多い時には、運動前に1〜2単位程度の補食をします。(なお、補食の単位については一般的には1〜2単位ですが、自己血糖測定をしている場合は、運動による血糖日内変動への影響をチェックした上で、個々にあった量を見つける必要があります。)
具体的には、ゴルフや長時間のハイキングなどゆっくりした運動をするときは、消化吸収に時間のかかる牛乳、せんべい、ビスケット、パン、おにぎりなどの炭水化物を食べます。運動が長く続く場合は同じような食品を1〜2時間ごとに追加します。
テニスやランニングなど短時間に大量のエネルギーを消費する運動の場合は吸収が速いブドウ糖を含む清涼飲料水、ブドウ糖末を摂るようにします。
『遷延性低血糖』を起こす可能性が高い場合は、睡眠前の補食として炭水化物や牛乳など消化吸収に時間がかかり血糖の上昇が緩やかで長く続くものにします。
なお、運動の際に同時に血糖を測定して記録に残しておけば、どのような食品をどれだけ食べれば良いのかが分かって来ます。


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